Fateキャラで送る金融工学講座 補講
現場の金融工学
随分、この授業も久々だな。
そんなこと言わないの。作者だって自サイトの更新とか、仕事に手間取られていたりするんだから。
それはそうと、今回の授業は・・・補講?
そう。現場で頭の良い人たちはどのように金融工学を利用しているのか、さっと説明させて貰うわ。
・・・とか、言いながら実は今回はブラック・ショールズ理論をやるつもりだった。だがブラック・ショールズ理論の意味そのものは簡単に説明できるが、その公式を説明するとなると、頭がパンクする小学生が多いことに作者が気づいたのでな。急遽、簡単そうな話を始めることにした。
・・・ようするに逃げたわけですね。
まあ、ランダムウォークとかブラック・ショールズ理論に関しては追々説明するわ。そもそも、あれは数学が苦手な人には理解できない部分もあるから・・・。とにかく今回は、現場で金融工学がどのように応用されているか、それを説明させて貰うわ。
【どのように財産を増やすのか?】
ではこれから、ちょっとした財テクの話をするわよ。たとえば私が百万円持っていたとして、これを簡単に倍以上増やすためには、どうすれば良いか?そんな話をするわよ。
簡単に倍に増やす?? 遠坂、お前、真面目に言っているのか?
私は真面目よ。本当に簡単なやり方だから。
その金を元手にカブをやればいいのではないですか? 前にリンはカブはお金を倍以上に増やすものだって言っていましたし・・・
ば、馬鹿! 株ってのはなあ、ギャンブルなんだぞ!ギャンブル! 運が良ければ沢山稼げるかもしれないけど、悪かったら財産全部スッちまうことだってあるんだぞ!!
そうなのですか?
ああ、俺だったら堅実に貯金するな。そして銀行とかに預けておいて、利子が増えるのを待つ。・・・・これが一番だと思う。
・・・・衛宮君? あなた、日本でそのやり方をやったら百万円が倍になるまで何年ぐらい掛かると思っているの?
さ、さあ? 十年ぐらいか?
ざっと見積もって、千年ぐらいね。
せ、千年?!
それは俄かに信じられません。
くっくっくっ、これだから知らない奴は困る。今、日本は超低金利なのだぞ。普通預金の利息が0.01%以下の銀行もザラではない。つまり百万円を銀行に預けても、一年間の利息は100円ぐらいしか付かないということだ。
ひゃ、100円・・・
まあ、今はそれなりに改善もされたようだけど、それでも普通預金などの金利が低いことは仕方ないわね。でも、この百万円を経理の上では簡単に二倍に増やすことが可能なのよ。
↑銀行に預けても利子は少しだけ。
これでは二倍に増やすことなんて難しい。
↑しかし、土地をローンで購入していた人が百万円繰上げ返済すれば、
ローンの金利も下がり(借金も減り)、結果的にお金が増えたのと同じことになる。
たとえば私が3%のローンで土地を購入していたとするわ。そして、そのローン返済をその百万円を使って前もって返済する。
前もって返済する?
ええ、そうすればローンの利率も下がり、返済額そのものも減ることになる。つまり、経理上は簡単にお金が増えたことになるのよ。(※ マイナスとして計算するお金が激減するために)
・・・でも、これでは実際にお金は増えてませんね?
馬鹿め。こんな計算も出来ないからお前は国を滅ぼすことになるのだ。払わなければならない金が激減するということは、将来使える金が増えるということだ。ローンの利率も下がり、将来的に払わなければいけない借金の元本も減るということは、プラスマイナスを差し引いた資産そのものが増えたことになる。つまり、金が増えたということになるわけだ。
ようは、借金は出来る限り早めに返せってことだな?
そういうこと。そして中には、こうやって購入した土地を誰か別の人に転売して利益をあげている人もいるわね。だから不動産投資ってのは、今も昔も続いているわけね。
【クレジットカードを使ったスワップ(交換)】
次にクレジットカードを使ったスワップというのを紹介するわ。
クレジットカードを使ったスワップ?
ええ、衛宮君も知っているでしょう? 支払い一括で購入した場合、手数料が一切かからないクレジットカードがあるってことを・・・
あ、ああ・・・でも、あれってどうなっているんだ? クレジットカードの会社っていうのは、クレジットでお金を貸した手数料で生計を立てているんだろう? でも無料でお金を貸すっていうことは・・・
実は、クレジットカード会社は顧客が一括払いで手数料を払わなくても十分に儲かっているのよ。
は? 儲かってる? どうして?
それはクレジットカードが使われる小売店とスワップ取引が行われているからなの。まずは下の図を見てみて。
この図にも描かれているけど、顧客が一括払いの場合、実は、顧客が払うべき手数料は小売店が支払っているのよ。
は? 小売店が? 何で?
そういうスワップ取引になっているからよ。だいたい考えても見て。手数料一切貰わずに、お金を貸しているだなんて、クレジット会社として利益のあることだと思う?
まあ、たしかに・・・ でも、そうすると小売店のほうが凄く損じゃないのか? 儲けの一部を手数料としてクレジット会社に払わなきゃならない。顧客がクレジットカードを使えば使うほど損をするってことだろう?
いや。だからここで、スワップたる妙味が出てくるのだな。顧客が一括払いで支払った場合、手数料は小売店が負担しなければいけない代わりに、顧客が二回三回と分割払いをした場合、手数料の一部を小売店が貰える仕組みになっている。
ほかにも顧客がその小売店でカードを新規でつくれば、クレジット会社がインセンティブ(見返り)を与えるなどのスワップを行っている場合もあるわ。こうやって小売店とクレジット会社は上手くスワップし合っているの。
うーん、たしかに小売店とクレジット会社はスワップ(交換)しているのはわかったけど、だけど、この交換条件は小売店にとって不利じゃないのか? 手数料を小売店が肩代わりしてくれるんだったら、誰だって一回払いで支払おうとするだろ?
ふ・・・だから貴様は考えが浅いのだ。そもそもスワップの利点とは何だ? それは交換することによって、お互いが利益を得るというものだ。この場合、その場で現金支払いをしなくて済むクレジットカードを持つことは、顧客にとって便利さに繋がる。また、一回払いならば手数料が掛からないということで、顧客がカードを使ってクレジット会社と提携した小売店で買い物をしやすくなる。
手数料を顧客が払わなくてもいいカードが出る。
↓
顧客がカードを欲しがる。
(クレジット会社の利益)
↓
カードを持った顧客が、クレジット会社と提携した小売店で買い物をしやすくなる。
↓
その結果、クレジット会社と提携した小売店で顧客が沢山買い物をする。
(小売店の利益)
※ちなみに作者はクレジットカードを使わない人間だったりします。
つまり、顧客がカードを持つということは、クレジット会社にしても小売店にしても有利ということだな?
そういうこと。このように、金融工学の基本的な考えは色々な場面で役立っているの。でも工夫次第では他にも違った役立て方があるのかもしれないわね。金融工学はまだまだ発展の余地はあるわ。だから一生懸命学び、そして応用してみる価値のある学問ね。衛宮君も頑張んなさいよ。
あ、ああ・・・
そういうわけで、私はそろそろお腹が空いてきました。夜食のラーメンを食べて今日はもう寝ましょう。