inserted by FC2 system
偉大な先人に学ぼう

その2 投資の魔術師 ジョージ・ソロス


 次に紹介するのは投資の魔術師、ジョージ・ソロスです。

 投資の魔術師?

 うん。彼はね、世界の金融の動きを素早く察知して、空売りや通貨の暴落で稼いでいるの。そんなだから、まるで魔術師みたいだって言われているんだ。

 空売りの仕組みやソロスの生い立ちについては、翡翠さんのコーナーで説明していますので、ここでは割愛させていただきます。とにかくソロスは、当時ではまだ珍しかったヘッジファンドを組織し、投資の最先端を行く人でした。


《ジョージ・ソロスの略歴》

1930年 ハンガリーでユダヤ人の家庭に生まれる。
1947年 単身イギリスに渡る。
1949年 ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス (LSE) に入学する。大学卒業後はイングランド北部のブラックプールで記念品や土産物や宝飾品などを販売するセールスマンとなる。
1953年 ロンドンのシンガー&フリードランダー社に入社。
1956年9月 ニューヨークのウォール街に赴く。
1961年から1966年にかけて、自分の学位論文「認識の重荷」を完成させることに集中する。
1969年 ジム・ロジャーズと共にソロスファンド(後のクォンタム・ファンド)を設立。
1980年 ジム・ロジャーズと訣別。
1992年 イギリス政府の為替介入に対抗してイギリスの通貨ポンドへ空売りを行い、15億ドルの利益を得る。


 ちなみにね。1992年にソロスがイギリスの通貨ポンドを空売りした結果、イングランド銀行は破綻。お陰でイギリスは今もヨーロッパ共通の通貨ユーロが使えないでポンドを使っている状態なんだ。

 それは凄いな…。不謹慎な言い方かもしれないけど、個人の力で国の経済を揺さぶるなんて、何か格好良いな。

 ソロスはこの他にも東アジア通貨危機にも関係しています。1997年、東南アジアの国タイを発端にして起こった通貨危機では、多くの人が失業に見舞われました。その際、空売りを行って国家予算並みのお金を稼いだのがソロスです。マレーシアのマハティール首相はソロスを名指しで批難したりしています。

 そんなソロスの投資手法は、間違った市場は理論上の市場に矯正される、という考え方を元に確立されているの。

 間違った市場は理論上の市場に矯正される…?

 ソロスはこのように語っています。


@ 市場はいつもある方向に偏っている。
A 市場の現在の状況は、市場の将来の展開に影響を与える。


 ??どういうこと?

 つまりですね。市場というのは、元々理論とは異なる動きをしています。そうでなければ、割安株が放置されていたり、本当に価値のある企業の株が下がったりするはずがないんです。

 そりゃ…まあ、そうだな。

 でもね。市場に参加する人が増えればどうかな?

 市場に参加する人が増えれば?

 たとえば、割安株だとあきらかにわかる株を何人もの人が目にするの。たとえば、お兄ちゃんの目の前に割安株があったらどうする?

 そりゃあ、買うだろう。企業価値があって割安なら買えって、前教わったしな。

 はい、そうですね。耕一さんがそう思ったように、他の人もそう思うわけです。そして、そういう人が多ければ、その株は人気がある株ということになり、どんどん値段は上がっていきますよね。

 あ…

 つまり、ソロスの投資方法は、常に市場を味方につける、というやり方なんです。たとえば、ある国の経済状態は赤字なのに、そこの通貨価値だけが異様に高いとか、金融を担当している官僚が市場の流れとは逆行するような政策を下している時をソロスは突くんです。 イギリスのポンド危機の時も、イギリスは貿易赤字を抱えているのに、政府が国の赤字を解消するためにポンドを高めに設定していたから起こったんです。

 ソロスの考え方を要約するとね。最初は教科書通りではないけど、参加する人が増えれば増えるほど、だんだん教科書通りになっていくということなんだ。
だから、株をこれから始めようと考えている人は、抜け道的なことを知ろうとするんじゃなくて、学校で教えているようなオーソドックスな経済学を勉強した方がいいかもしれないね。

 なるほどな。学校で教わっている社会科とかの勉強は、こういった所で生かせるんだな。







次へ


前へ戻る


トップへ
















オマケ de コラム

昔は鳩で証券取引をしていた?

信じられないような話かもしれませんが、本当の話です。
まだ電信網も整備されていない時代、ニュースと株価情報を伝える最速の手段は伝書鳩でした。

伝書鳩って何?という人もいるかもしれませんので説明しますね。

伝書鳩というのは、首や脚に手紙を巻きつけ、遠く離れた場所に手紙を送る鳩のことを言います。
鳩は帰巣本能が強く、そのため約1000q離れた場所からでも、元にいた場所に戻って来る習性があるそうです。そして、この鳩の習性を利用したのが伝書鳩です。
歴史は古く、何と紀元前2000年頃から古代メソポタミア文明の国家が伝令として使っていたようです。第二次世界大戦の時代にも、イギリス軍は重要文書は特別に訓練された鳩を使って郵送していたそうです。

さて、軍隊の重要機密文書でさえ送っていた鳩を、情報が何よりも重要な証券会社が利用しないはずがありません。
ブリュッセル−ドイツの間を鉄道で走るよりも六時間も早く移動できる伝書鳩は、まさに証券会社の精鋭部隊でした。電信網が発達した後も、より確実な情報は伝書鳩でなければ駄目だという理由で、鳩を使う会社は多かったようです。
伝書鳩が廃れたのは、1960年代にロイター社がストックマスターを開発し、リアルタイムで株価を送信できるようになってからだと言われています。